E36(320i)
友人が、E46型3シリーズ(318i)からE36型3シリーズ(320i)へクルマを買い換えた。
同じ車種の古いモデルに買い替えるなんて、まず、国産車ユーザーならしないだろう。


E46よりも前の3シリーズになると纏うオーラが違う。
リサイクル素材やコストを考えず、質実剛健なドイツ車らしさ全開。
リヤドアなんかは金庫のような閉まりかたをする。

色が絶妙に違うことでなんともいえない表情が生まれている。



いや、これが正統的な大きさだ。
最近のBMWというか、最近の怒り顔のトレンドはどうにかしている。

この世代のベンツも同じで、角ばったデザインがどこかレトロ感を感じさせる。

E46から小さくなったのかな。

さすがに細かなところは劣化しているけれど、これまで屋根付き保管だったようで程度は良い。


E36→E90でそのままモデルチェンジがあったといわれてもおかしくないほど、
内外装とも共通項が多い。




E36のオーラに完敗の我がE90
E36の虚勢を張る素振りを見せないお顔が実に頼もしい。
中国製直4を収める強面ヴェルファイアにだって負けやしない。


ドライバー志向のインパネが走りを誘う。
エンジンとの対話に集中できるよう、奇をてらわないインテリアデザインとなっている。

クロノグラフの文字盤のような精緻さを感じられる。
無駄な情報がないのはカッコいい。

カバーのサイズはあるにせよなかなか大きなエンジン
エンジンルームの大部分を占めている。
2リッター直6といえば、私の初めての愛車、トヨタ・クレスタ2.0ツインカム24(1G-GE)と同じ。どんなフィーリングなのかワクワクしながら、運転席に乗り込んでみた。
シートはすぐにベストな位置が分かった。それもそのはず、私はオーナーと背丈が似ているのだった。ミラー類もそのまま、ステアリングを握る。懐かしさを感じる細さで時代を感じるが、素直に握りやすい。
キーを差し込み、ゆっくりとイグニッションスイッチを回すと、元気なセルモーターが長いクランクシャフトにエネルギーを送り、一瞬のどう猛さを感じさせながら「ボウンッ!」とエンジンが動きだした。
振動のないなめらかなアイドリング。見てくれの古さとミスマッチなほど、アイドリングの振動がない。
ブレーキペダルを必要なだけ踏み込みシフトレバーを優しく握ったら、感触を確かめつつ、PからNまで移動する。半クラッチを手元で扱うように丁寧にDに入れる。
後輪2輪にトルクがかかり始めたことを理解したら、サイドブレーキを確実に下ろし、フットブレーキを離せば、E36は静かに動き出した。
アクセルペダルは当然オルガン式で踏み込みやすい。これまでの一連の動作はE90と何も変わらない感覚で行うことができた。旧世代に戻っても違和感を感じないのは、このモデルたちが伝統をしっかり引き継ぎながらエンジニアリングされている証左。
全体の動きを確認し、アクセルペダルを踏み込む。
回転計の針の上昇とあわせて直6サウンドのボリュームが大きく、響く。
オートマチックトランスミッションはスムーズに変速業務をこなし、エンジンのパワーがリニアに路面に伝えられる。タイヤが心地よく路面を転がる。
「いい機械だ」と、自然と(脳内で)言葉が出てしまった。
BMWのこの世代までのエンジン(シルキー6)は、直噴やバルブトロニック等の余計な技術が搭載されていないため、完全バランスの内燃機関が持つ本来のフィーリングをストレートに味わえる。
トヨタの1GやJZも回すと痺れるが、獰猛さが全面に出るところ、コイツは違う。
分厚い金属という箱庭の中から、狂想曲が始まる感じ。
回転を上げていくと、精緻な工業部品たちが調和を始めることがステアリングとアクセルペダルからの振動と回転計の上がり具合い、車全体が奏でる騒音から感じられる。ガソリンを燃やして生まれるエネルギーの密度がとにかく濃い。
「BMWはエンジン屋だ!」ということをハッと思い出させる。

E36は5ナンバー。

トランクリッドの裏に収納されていて、
写真のとおり、工具箱の蓋を開いたようなかたちで取り出しやすいように固定できる。

E36型は、存在感のあるエンジンと必要十分なボディサイズで非常にクルマとして完成されていた。ただ古いだけ。予防安全や環境対策をすべて取っ払って、エンジン屋が想うままのセダンを今の最新技術で作ったら、どうなるんだろうと妄想が膨らんだ。殆ど空気を運ぶだけの週末限定稼働の強面スカスカパワーミニバン連中とは真逆のタイプのクルマ。
優れた工業製品として、この時代のドイツ車が支持されている理由が理解できた。



